2003.7 updated

ビタミンW:バックナンバーコンテンツ 31〜60

60.ポストに入れる瞬間が好き
私は、郵便ポストに請求書などを投函する瞬間が好きだ。自分が行動している実感が感じられるからだ。それはまるで池に石を投げ入れるように、現実の社会に自分の波紋を広げる儀式である。なんだかとてもワクワクする。いくら頭で考えていても現実には何も起きない。いいアイデアが浮かんでも、いい企画書が出来ても、それをほかの人に伝えなくてはまったく意味がない。自分で仕事をしていると、つい自己満足で終わってしまうことが多いが、大事なのは自分以外の人に働きかける、その小さな行動だと思う。電話をかける、ハガキを出す、メールを送る。行動することなしに、違いは起きない。今日もまた、自分から波紋を起こそう。

59.仮説を立てる

先日、ある化粧品を輸入しようとする日本企業とアメリカ側の代理店との通訳をやった。その事前打ち合わせで日本側の担当者との会話。「じゃ、S社からどれくらい注文がくると思う?」「う〜ん、まだわからない。これから決めるみたい」「厚生労働省に出すのに必要な書類はどうするの?」「出来るだけ早く書いてほしいんだけど・・・。何日くらいかかるのかなあ」「・・・」要は、相手の都合や自分の力が及ばない不確定要素が多くて、どうしていいのかわからないのだ。こんなときは「自分で仮説を立てる」と良い。不確定ながらも、わかっている状況や情報から推測して「A社はきっと500個くらいオーダーが入るはずだ」とか、「15日までに書類がそろえば、17日に申請できる」などという仮説を立てる。そしてその仮説にのっとって話を進めていけばよいのだ。もちろんそうなる保証はないが、ひとつのシナリオを提示することで、話が俄然現実味を帯びてくる。自分ですべてが決められないようなときは、とにかく「仮説」を立ててみよう。

58. 責任感はいらない

「責任感で仕事をしています」という人がよくいる。でもそれを「自分が本当にやりたいこと」と勘違いしてはだめだ。責任感がある人は、まじめな人が多いが、それが本当にあなたのやりたいことなのだろうか。
私もサラリーマン時代、責任感で頑張って働いていた。土日も働いたし、会社にも泊まりこんだ。しかし、責任感からは本当の生きている喜びは味わえない。それは自分が後ろ指をさされないよう、頑張っているにすぎない。
本当に好きなこと、やりたいことをやっていれば、責任感など必要ない。自分がただ「やりたいからやっている」のであって、そこにあるのは満足感だ。私はいまはものを書いたり、講演をしたりしているが、責任感ゼロ、充実感100で仕事をしている。私は責任感から自分を開放したとき、はじめて自分を好きになれた。あなたはどうだろう。背負っているものを少し横においてみては?

57
. 自分がわかるように聞く

書店に出たばかりの自分の本を探しに行った。「あのー、今週出た"あなたが輝く生き方がきっとある"って本、ありますか?」「えー、それは準新刊の扱いでして」「へ何?出たばかりだから新刊でしょ?新刊と準新刊の違いってなに?」「えーそれはですね…」「誰が決めてるの?本社、それともここの店だけ?」「…申し訳ございません」
よく一方的に説明をされ、わかったふりをして聞いてしまうことはないか。医者の説明、店員がする商品やサービスの説明。その場でわかった気がしても、あとになってみると人に説明できない。何を遠慮しているのだ。あなたはわかる権利がある。もっとガンガン聞こう。つっこんで聞いてみると相手もわけがわからずしゃべっていることが多いのだ。自分のボキャブラリーで説明できて、はじめてわかったと言える。さきほどの店員よ、謝らなくていいから、新刊と準新刊の違いを教えてくれ〜!あー気になる。

56. とりあえず最後までやる

仕事で煮詰まったときは、かまわず次へ進もう。どうしても一ヶ所にこだわると、全体が見えなくなり、結局時間が足りなくなったりする。私は「一度最後まで手をつける」ようにしている。わからないながらも、とにかく最後の行程まで手をつけるのだ。たとえば、本の翻訳でも、途中で一ヶ所、どうしても訳しきれない文があっても、とりえあえずそこは飛ばして、章の最後まで訳す。そしてまた立ち戻ると、わからなかったものがわかるようになったりするのだ。また、頭の中で、何度も全工程をウォークスルー(歩くように、順を追って検証すること)することで、全体の完成度も増す。行き詰ったら、そこを大きな空欄にして飛ばす勇気をもとう。一番大事なのは、全体を仕上げることなのだから。
55.ベトナム人から感じた『生きるたくましさ』
先日、家の古いステレオ、テレビを処分しようとリサイクルショップを新聞で探して持ち込んだ。国道沿いの敷地にトタン板でかこっただけのその店で、出てきたのは30歳前後のベトナム人夫婦。「これ、引き取れる?」「ソレ、オカネカカル」「コレダイジョブ」
つたない日本語で彼女と言葉を交わす。聞くと日本に来て5年あまり。古いテレビやステレオを集め、ベトナム本国に送って修理して売っているらしい。
言葉も定かでない国でビジネスをして生計を立てている彼らのひたむきな姿を見て、ハッと思い出したことがある。かつて香港を訪れたときに感じた、ほかのアジア人の『生きるたくましさ』だ。日本を一歩出ると、人々のエネルギーの温度差をはっきりと感じる。それだけ日本は冷めているのだ。もっと熱く、たくましく生きよう。日本を基準においてはダメだ。

54.同時にふたつのことをする

私は家にいるとき、よく料理を作りながら洗濯機を回す。お米をとぐと同時に洗濯機に衣類をいれる。ご飯が炊ける間に脱水槽に衣類を移す(いまだニ槽式です)。そしてすかさず野菜を切る。こうしていると、ごはんが炊ける頃には洗濯もかたづき、時間を得した気分になる。仕事もこれと同じで、ひとつにかかりっきりになるより、いくつかのプロジェクトを抱えていたほうがうまくいくと私は思う。このコツは、短い時間ごとに仕事を区切って、その時間は目の前の仕事に集中することだ。
人は能力の80%の仕事しか与えられないと、自然と自分の力も80%にセーブしてしまうが、120%の仕事量を課すると、能力もそれに合わせて高まる。「どうしたら同じ時間でふたつのことがこなせるだろう?」そんな疑問から工夫は生まれる。

53.ビラを配る人、もらう人

先日、都内数箇所で英語学校のビラ配りをした。わざと避けて迂回していくOL,戻ってきてビラを受け取る人、「そうよ、これよ!」と神の導きを受けたような顔をしてもらってくれる人、丁寧に会釈して過ぎ去る人・・・。ビラ配りは人間観察にはもってこいだ。結局2時間くらい配ってもらってくれたのは10人ばかりだったが、受け取ってくれたときの喜びは、本の企画が通ったときくらい大きかった。それまで自分は、いつもビラ配りの人を避けて通っていたが、今回自分で配って、はじめて彼らの気持ちがわかった。無視していく人が多い中、それをもらってくれるだけでどれほどうれしいか・・・
英語で相手の立場に立つことをPut yourself into one's shoes という。「相手の靴をはいてみろ」というのが直訳だが、やっぱり相手を真から理解するには、頭で考えただけではだめで、実際自分が同じことをやってみなくてはわからないものだ。わかったふりをするより、そういう謙虚さを忘れずにいたい。

52.自分を変える

実家にかえって母と話していたときの会話。何度言っても自分の考えを変えようとしない母に向かって、何気なく言った言葉だ。「自分を変えるって、自分が頭に来ることを受け入れることなんだよ」これが母にはしっくりきたらしい。そんなこと考えてもみなかった、といっていた。確かに人は変わろうとするが、自分の勘にさわる部分、腹の立つこと、いやなことなどは変えようとしない。でもそこに切り込まなければ、人は変われない。
人は変化を嫌う動物だ。誰でも自分を安全ゾーンの中においておきたい。でもそれでは自分が変われない。自分を変える時には必ず感情の衝突が起きる。不安、いらだち、焦燥感・・・。でもそれと正面から向き合い、受け入れることができたとき、自分は大きく変わっている。こういう作業をあなたは日々していますか?

51. 踊るコンタクトレンズ

私は、同じことが立て続けに2度起きるとき、それは神様からの教えだと思っている。ある晩、台所でコンタクトを外そうと、左目をパチッと閉じた瞬間、レンズがどこかに飛んだ。そーっと動きながら目を皿のようにして探す。手、顔、シンクの中・・・。10分くらい探したが見つからず「あーあ、レンズひとつなくした」とあきらめて皿をどかしたとき、「あっ!あった」薄ピンク色がついたレンズが皿の下から現れた。それから3日後の晩。今度は手の平でレンズを洗っているとき、勢いあまってまたレンズを落としてしまった。今度こそ見つからない。とうとうあきらめてコップの水を流そうとしたとき、なんと今度はコップの中に落ちていた。この2回の出来事から学んだのは「だめだと思っても、ちょっと違う動きをするとチャンスはある」ということ。日々のこうしたなにげない出来事からでも、学べることはたくさんある。

50.父の入院が家族にもたらしたもの

いま、父が二度目の脳梗塞で倒れ、山梨のリハビリ病院で療養している。恥ずかしながら私の父と母は長年仲が悪く、もう20年近くも会話らしい会話を交わしていない、いわゆる家庭内別居状態だ。私はそんな中、二人が居合わす場にいるたび、居心地の悪い思いをしてきた。だから僕は三人で楽しい会話をしたことがない。夏に家族旅行にいってもいつも喧嘩ばかりだった。
しかし、今回の父の入院をきっかけに、お互いが会話をせざる得なくなり、しぶしぶながら会話が生まれている。これを怪我の功名というのだろうか。まだぎこちない会話だけれど、どこまで普通の状態に戻れるか、一人っ子の僕はおっかなびっくり様子をみている。うまくいくといいのだが。コミュニケーションの大事さを、僕は反面教師として親から学んでいる。

49. 女性の感性に学ぶ

知り合いのMさんの財布を除くと、1万円札が「0000」の数字が横に並ぶようにきれいに折られて入っており、ぱっとみると数字のゼロが何十桁も続いて見えるような入れ方をしている。聞くと「こうしておくと、たくさんお金が入ってくる」のだそうだ。また、財布は最初に入れた金額を覚えていて、お金が出ていってもやがてその金額に戻るから、といってたくさんお札を入れている。またAさんと一緒にカフェ等にいって、窓際の席が空かずにとりあえず奥の席に座り、しばらくして窓際が空くと「絶対空くって思ってた」という。ちなみにこの彼女は、適当に選んだ数字で万馬券を2回もあてている。
これらは男性から見れば、なんの根拠もなく、説明もつかない。しかし、多くの女性は、何も疑わず素直にこのような思考パターンをもち、そして成功しているのだ。
「理屈抜きで、いいと思ったらやってみる」―この感性こそ、頭の固い男性にとって必要である。

48. 身のこなしに品がでる

何気ないしぐさをみると、その人の品格がすぐにわかってしまう。自分の立ち振る舞いにあなたは意識を向けているだろうか。カバンの持ち方、腕のもっていきかた、コップの置き方など、これら無言のメッセージが、言葉より雄弁にあなたという人を語る。京言葉に「はんなり」というのがある。これは「上品で明るく、華やかなさま」をいうのだが、こういった優雅さがある人は素敵だ。日本の作法は世界に誇れる私たちの文化だ。こういうことができる人は、世界に出ても通用する。どんなにいい服を着ても、着ている本人がだらしなくては意味がない。今日一日、自分の動作にちょっと意識を向けてみよう。
47. 今を生きている人は輝く
この前、白川由紀さんという方にお会いした。彼女は自分でユーラシア、アフリカ、南米などの大陸横断バスを企画し、自らもバスに同乗し、旅のエッセイや写真をネタに、講演や雑誌の連載をしている。彼女ははっきりこう言う。「私は、普通のOLさんに比べると経済的には豊かじゃないし、貯金もゼロ。将来設計もまるでない。でもその分いまにとっても自由がある。人は100%の確率で死ぬ。あとで楽しむのも、今楽しむのも同じ。だから私は今を楽しみたい」いさぎよい言葉が身にしみる。私たちは、つい先のことを思い案じ、心配が先にたって行動がにぶくなる。しかしそれを続けていると、いまこの大切な時間を見失ってしまう。私たちは今に生きているのだ。いまを思いっきり生きている人は輝いている。白川さんを見てそう思った。

46. 言葉の持つ魔力−チャレンジド

身障者やハンディキャップを負った人達のことを「チャレンジド」とも呼ぶそうだ。そこには「神から生きていく上でのチャレンジを与えられた人」という意味がこめられている。実際、彼らはその挑戦を前向きに受け止め、乗り越えようとしている。この言葉の、何と素晴らしいことか。「障害者」という言い方は、無意識にかわいそうな人達、ハンディキャップを負った人達という見かたをさせてしまうが、「チャレンジド」と言うと、挑戦を乗り越えようとしているたくましい人という見方に変わるのだ。人や物事に結びつける言葉を変えただけで、その意味が180度変わる。その意味では、健常者は「アンチャレンジド−挑戦されていない」普通の人達なのかも知れない。だからこそ、自分が挑戦することを常に探そう。

45. 自分を伝えるには、まずは相手のことから

自分を売り込みたいときなど、ついここぞとばかりに自分のことをPRしすぎたりする。会っていきなり「今度どこそこの雑誌に出ますので」「今度舞台があるんで」…いつもそう言っている人には辟易してしまう。自分のことを聞いてほしいときには、まず相手のことを話題にしよう。相手に興味を持ってあげると、相手も自然と自分に興味を持ってくれる。そこでようやく相手の耳が開くのだ。時間がないときにはやむをえないが、できればこの順番に従ったほうが、より相手に受け入れてもらいやすい。自戒をこめて。
44. 一歩踏み出す人の前には橋がかかる

新しいことに挑戦するとき、「失敗しないかな、恥をかかないかな」と立ち止まってしまうのが普通だ。今までやったことがないのだから、何が待ち受けているかわからない。だったらやめておこう。そう思ってしまう。私が好きな映画インディ・ジョーンズのワンシーンで、谷底深い崖の上で敵に追い詰められるシーンがある。そこで主人公は自分を信じて崖から一歩を踏み出すと、いままで見えなかった橋が表れるのだ。独立するとき、本を始めて出すときも同じだった。うまくいく保証はなにもない。でも「きっと自分はできる」と信じて進んだら、なんとか道が開けた。目の前に橋は見えない。谷底に落ちるかも。でも自分を信じて一歩踏み出せる人には、必ず橋がかかる。


43. チャンスをつかむちょっとした気遣い
メルボルンにALS患者さんのアテンドにいったときのことだ。パーティでの通訳として、現地で通訳の勉強をしている日本人の学生達十数人がボランティアで来てくれた。しかし、オーストラリアという土地柄か、または海外滞在が長いせいだろうか、彼らの服装は普段着で、緊張感があまりなかった。こちらは日本から来ているのだし、ボランティアとはいえ「ちょっと相手に対する心配りが足りないな」と思った。
その中で、軽くお化粧もし、身なりにも最低限の気を使っている一人の女性がいた。通訳は皆よくできたが、彼女のそういう気遣いが私の目に止まり、帰国後も通訳・翻訳の仕事をお願いするようになった。
彼女は、ほかの人がしないようなちょっとした気配りで、仕事のチャンスを得た。聞くとよく、こういうことがあるそうだ。そういうところを、見ている人は見ているものだ。チャンスは実力だけではつかめない。


42. 
頑張ればいいというものじゃない

成功するには、人の3倍努力しろーこんな言葉を言われたことがある。
高校からバスケ部に入った私は、皆に追いつくには練習量だと思って、朝、昼休み、家に帰ってからと四六時中ボールに触れ、人の何倍も練習したがうまくならなかった。
大学3年から自転車を始め、2年目で世界レベルに手が届いた吉井功治さんはこういっている。「強くなるには、ほかの選手のマネをしても、練習量を2倍にふやしてもダメだ。大事なのは、自分に合った練習方法を見つけることだ」
つまり、練習量でも、その質でもなく、自分という人間にいかにマッチしたやりかたを見つけるかどうかが大事なのだ。それを探す努力のほうが、やみくもに練習をふやすよりよっぽど意味がある。


41. 自分のプロフィールをつくる

講演や本を出すようになり、必要に迫られて自分のプロフィールを作ったが、自分を客観的に見るのに、これはとても役立つ。文字数も200字くらいと限られてくるので、必然的に自分と向き合うことになる。少ない文字数で自分という人間をどう伝えられるだろうか。通り一片の職歴や学歴を書いてもつまらない。何がセールスポイントか。人に訴える出来事は何か。「川村透。東京都生まれ。サラリーマンを七年経験するも、自分のルールで仕事をやってみたいという思いにかられ、退社。ふと訪れたロサンゼルスのビジネスショーで、偶然聞いた講演の内容に感動し、彼の本を翻訳しようと思い立つ…」はたして、自分が他人だったら、自分のプロフィールをみて「おっ」と思うだろうか。そういった視点を持つと、少し離れたところから、自分という人がみえてくる。


40.「幸せのサイクル」に乗る

私はいま、なるべく好きな人と好きな仕事だけをするようにしている。これは一見、わがままなことだが、そうするようになってから、仕事のストレスはほとんどなくなった。やりたい仕事だと、いいものを作ろうと思って気合が入るし、好きな相手だとその人を喜ばそうと思って一生懸命頑張る。その結果、いい仕事ができ、評価もされる。そして人を紹介されたりして、仕事が広がっていく。
僕はこれを「幸せのサイクル」と呼んでいるが、一度これに乗ってしまうと、もう楽しくて仕方がない。義務感や責任感でやっていた仕事とは違い、幸福感を味わえる。
 独立してはじめて知った、人生の「楽しいしくみ」のひとつである。

39. 小さなノートを持ち歩く
本気で自分を変えている人は、必ず小さなノートを持ち歩いている。あるとき、ワールドカップの元フランス代表のスキー選手の通訳をしたことがある。「ターンのときに腰が回ってしまう」という一般スキーヤーからの質問に対し、彼はこう答えた。「自分もそうだったが、それを直すため、小さなノートに"ターンのとき腰をブロックする"と書き、それを常に持ち歩いていつも見るようにした」世界レベルの選手でさえ、こんな地道な努力をしているんだと、私はしばし感心した。
 自分も大企業をスピンアウトして個人事務所で働き始めたとき、まったく使い物にならず、電話の対応、請求書の作り方など、すべてを社長に厳しく直された。そのとき、悔しい思いをしながら、毎日仕事が終わったあとにノートをつけていたのを覚えている。
自分が変わるには、思うだけでなく、「書く」、そしてそれをいつも「見る」行為が必要なのだ。


38. 自分のコンプレックスを武器にする

先日、講演でこんな質問を受けた。
「私、自分が恥ずかしいと感じることが多いんです。目が細いとか、太っているとか・・・」
でも、私が見る限り、本人が気にするほどのことはなく、和風の美人である。
 誰にでも、自分のコンプレックスがある。それを隠そう、恥ずかしい、と思ってしまうと、内に閉じるエネルギーが働き、せっかくの本人の個性が表に出ない。
 でも、自分でそれを逆手にとり、個性として利用してしまえば、エネルギーが外に向いて、自分の強さとなる。だから思い切って、自分のコンプレックスを公言し、自分でそれを笑い飛ばしてみよう。私にとっては、どもりがそれだった。でもそれを受け入れ、人に言うことで、だんだんと治っていった。コンプレックスは実はあなたの最大の武器なのだ。

37.はじめからビジョンなどない

すでに成功している人や会社をみると、はじめから「こうなる」という明確な方向性やビジョンがあったようにみえるが、実際はそうでないことが多い。皆、夢中で「いまできること」「市場から求められること」をやっているうちに、だんだん核となるものが見えてきたという人がほとんどだ。
だから、いまビジョンや方向性が見つからずに悩んでいても、あわてる必要はない。しっかりと、目の前のことに集中しよう。そうしていま、必要なことをやっているうちに、やがて自分の柱が見えてくる。ビジョンは見つけるものではなく、見つかるものだと考えよう。

36.「間」の力を利用する
誰かの名前や地名などを思い出せないとき、忘れてほかのことをしているときに、急にパッとひらめくことがある。探し物なども同じだ。これは潜在意識にお願いしておくと、その答を探してきてくれるのだ。この意図的な「間」は、仕事にも人間関係にも応用できる。たとえば連絡しても返事がないとき、自分の都合だけを考えて一方的に押しても、ことはうまく進まない。かえって嫌がられたりする。こういう場合は、しばらくおいておく。意図的にそのことを「忘れ」、ほかのことに手をつけるのだ。そうすると先方からレスポンスがあったりする。
これができるようになってから、せっかちな私はストレスがなくなり、人間関係もスムーズにいくようになった。どっしりと構えていられない人は、試してみては?


35. 人に嫉妬したり、ねたんだりするわけ

人は生まれながらにして、嫉妬心や人をねたむ心をもっているようだ。私も、ときに人の成功を素直に喜べないことがある。しかし、そんなときは決まって「自分を人とくらべている」のだ。比べるべきは、人でなく、自分の目標だ。
人に嫉妬心を感じるのは、自分に目標をセットしていない証拠だ。だから人に気をとられてしまう。自分の価値は自分で決める。自分が目標を決め、それに対してどれだけできたか、ベストを尽くしたか、それが大事だ。人の成功をうらやんでも意味がない。自分でゴールをセットし、そこに向かって進む。人生はその繰り返しだ。このプロセスがわかると、他人は目に入らなくなるし、生きる充実感も上がる。ライバルは自分だ!

34. 場のエネルギーを感じる

僕は以前まで、封切られた映画など、いずれビデオになってから観ればいいと思っていた。面倒くさがり屋の人は、そう思う人も多いだろう。
しかし、この姿勢は人生で大事なものを逃している。それはその場のエネルギーだ。
封切の映画初日に並んでまで観る−そこには、時代の最先端をいくエネルギーがある。またそこに集まる人にも、新しいものを真っ先に知りたいというエネルギーがある。そのエネルギーを感じることで、自分の感性が磨かれるのだと思う。感性が求められるビジネスに携わる人には、これは馬鹿にできない感覚だ。こういう、目に見えないものを大事にする感性が、21世紀には必要だ。


33.
計画の失敗は、失敗を計画しているようなもの

英語でFail to plan is planning to fail.という表現がある。これは「計画の失敗は、確実に失敗することを予め計画しているようなものだ」という意味だ。僕は以前、コンサルティング会社でプロジェクトをいくつも経験したが、最初のプランニングで8割の時間をかければ実作業は2割ですむところを、見切り発車してしまって3割くらいしか計画に費やさないために、結局何度も何度も実作業をやり直す、ということがよくあった。やもするとどうしても早くとりかかりたいものだが、計画時に頭の中で十分推敲することで、何倍もの作業が短縮できるのだ。計画にはしっかりと時間をとろう。


32. 意志ではなく、イメージを持とう

「今年こそは…をやる」「ダイエットする」そう心に決めるのはいいが、長続きしないのが関の山だ。フランスの医学者、エミール・クーエはこういっている。
『意志と想像力が争えば、必ず想像力が勝つ。意志と想像力が一致すれば、その力は和でなくて積だ』
 身体はイメージに反応するようにできている。だからもう、意志を持つ必要はない。その代わり、具体的なイメージを持とう。「今年こそ英語をマスターするぞ!」と心に誓うのではなく、「英語で大勢の前でプレゼンしている自分」を思い浮かべるのだ。そうしたほうが、よほどスマートだ。努力や頑張りはもういらない。イメージで目標をかなえよう。

31. 自分に締め切りをつくる
年末は、不思議と仕事がはかどる。それは今年中に終わらせよう、という気が働くからだろう。残りの11ヶ月もこの調子でやったら…といつも思う。会社の仕事などには締め切りがあるが、自分の個人的な目標やプライベートなことには締め切りはない。そのため、ついつい先延ばしになってしまう。人は自分との約束は守れない、というか一番後回しになるのが普通だ。でも、自分の人生にとっては、これが一番大切なはず。だから、自分との約束には必ず期限をつけて「○日までにやる」と日付を入れておこう。人はどうやら、不思議と締め切りが迫らないと本気になれない生き物のようだ。

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